ヤマト運輸で PC を送るなら小口に分ける — 責任限度額 30 万円から逆算する梱包戦略

重岡 正 · Thu, May 7, 2026

フルリモートの組織で働いていると、PC を郵送でやり取りする場面がよくあります。入社時の貸与、故障時の交換、退職時の返却。そのたびに「どう送るか」を考えることになります。

私はこうした PC の配送にヤマト運輸をよく使っています。その経験から、地味だけれど効いてくる結論が一つあります。それは「サイズ的に 1 つにまとめられそうでも、あえて小口に分けて送ったほうがよい」ということです。鍵になるのは補償の上限、つまり責任限度額です。

パソコン宅急便の責任限度額は「1 個につき 30 万円」

ヤマト運輸には、精密機器である PC の配送に向いたパソコン宅急便というサービスがあります。専用の梱包資材で衝撃から保護してくれるのが特徴です。

ここで見落としがちなのが補償の条件です。公式サイトにはこう書かれています。

責任限度額はお荷物 1 個につき 30 万円まで(税込)

ポイントは「1 個につき」という部分です。補償の上限は荷物の個数ではなく、1 個あたりに対してかかります。つまり、万一の事故で全損になったときに戻ってくる金額は、その荷物 1 個について最大 30 万円までということです。

なお、この「1 個につき」という数え方はヤマト運輸に固有のものではありません。佐川急便の飛脚宅配便でも、損害賠償の限度額は同じく「お荷物 1 個につき 30 万円まで」と定められています。日本郵便のゆうパックも基本の補償は 30 万円までで、こちらはセキュリティサービスを付加すれば 50 万円まで引き上げられます。これから書く「小口に分ける」という考え方は、配送業者を問わず広く当てはまります。

1 つにまとめられても、小口に分ける

PC を複数台送るとき、大きさや重さだけを見れば「1 つの箱にまとめてしまえそう」というケースはよくあります。配送料も個数が減るぶん安くなりますし、伝票を書く手間も減ります。一見すると合理的です。

しかし私は、補償の観点からこれをおすすめしません。理由は責任限度額の数え方にあります。

たとえば 20 万円の PC を 2 台送るとします。

  • 1 個にまとめた場合: 荷物は 1 個。全損時の補償上限は 30 万円。中身の価値は合計 40 万円なので、差額の 10 万円は補償されない
  • 2 個に分けた場合: 荷物は 2 個。それぞれに 30 万円までの補償がかかるので、合計で最大 60 万円までカバーされる

まとめた瞬間に、補償の枠が荷物単位で 1 つ分に縮んでしまうわけです。中身の合計金額が 30 万円を超えるなら、小口に分けるだけで補償の天井が個数ぶん引き上がります。

補償だけでなく、物理的な破損リスクの面でも分けたほうが安全です。1 つの箱に複数台を詰めると、輸送中の振動で PC 同士が重なったりぶつかったりして、互いを傷つける可能性が出てきます。精密機器は、できるだけ単独で、専用の緩衝材に包まれた状態で運ばれるのが理想です。小口に分けることは、この理想にも素直に沿っています。

空輸はおすすめしない

遠方への発送で「早く届けたいから空輸で」と考えることもあるかもしれません。ですが、高価な PC については私は空輸をおすすめしていません。

理由はやはり補償です。航空輸送は運送約款上の責任限度額が陸送とは別の体系になっていて、荷物の価値に対して補償が見合わないことがあります。スピードと引き換えに、万一のときに戻ってくる金額が小さくなるのでは、高価な機材を預ける先としては心もとない。急ぎでなければ、補償のしっかりした陸送の宅急便で、小口に分けて送るのが結局いちばん安心です。

自分で PC を持って飛行機に乗り、受託手荷物として預ける場合も同じです。破損時の補償もほぼ期待できません。

梱包資材があれば普通の「宅急便」でもよい

最後に、コスト面の小ネタを一つ。

パソコン宅急便は専用の梱包資材込みのサービスなので、その分の費用がかかります。手元に適切な梱包資材があったり、PC を購入したときの箱を取ってあったりするなら、無理にパソコン宅急便を使わなくても、通常の宅急便で送って問題ありません。

私自身は、専用資材を毎回買うのがもったいないと感じることが多く、購入時の箱や手持ちの緩衝材があるときは普通の宅急便をよく利用しています。その場合でも、ここまで書いてきた「小口に分ける」「空輸を避ける」という考え方は同じです。要は、補償の上限と破損リスクから逆算して梱包と発送方法を決める、ということに尽きます。

まとめ

  • パソコン宅急便の責任限度額は荷物 1 個につき 30 万円まで(税込)
  • 中身の合計が 30 万円を超えるなら、1 つにまとめず小口に分けると補償の天井が個数ぶん上がる
  • 1 箱に詰め込むと PC 同士が重なって破損するリスクも上がるため、その意味でも分けたほうが安全
  • 高価な PC は補償が見合わないことがあるため空輸はおすすめしない
  • 梱包資材や購入時の箱があるなら、通常の宅急便でも十分

PC の配送は、つい料金と手間だけで判断しがちです。ですが、万一のときにいくら戻ってくるかという補償の視点を一つ加えるだけで、送り方の最適解は変わってきます。

以上、フルリモート組織でたまに PC を送っている、現場からお送りしました。