日本発で Product Hunt デイリートップ3入りしたプロダクト完全リスト(2013年〜2025年)

重岡 正 ·  Wed, January 7, 2026

私が開発に携わっている Giselle が、先日 Product Hunt でデイリー2位を獲得しました

この経験をきっかけに、「日本発のプロダクトで Product Hunt のデイリーランキング上位を獲得した事例は、これまでどれくらいあるのだろう?」という疑問が湧きました。

そこで今回、Product Hunt が設立された2013年11月以降で、日本発のプロダクトが Product Hunt のデイリーランキングで1位〜3位を獲得した事例を徹底的に調査してみました。

調査結果:日本発でトップ3入りしたプロダクトは9製品

調査の結果、確認できた範囲で9プロダクトが Product Hunt のデイリーランキングでトップ3入りを果たしていました。

2017年に STUDIO が日本発プロダクトとして史上初めて1位を獲得したのを皮切りに、特に2024年以降は AI 系プロダクトの躍進が顕著です。

日本発でデイリートップ3入りしたプロダクト一覧表

プロダクト名会社/開発者ローンチ日UpvotesDailyWeeklyMonthly
STUDIOSTUDIO2017年8月25日340🥇1位
xpression cameraEmbodyMe2020年11月11日273🥇1位🥇1位4位
AI PicassoAI Picasso2022年9月24日270🥇1位🥉3位
STUDIO AISTUDIO2023年4月26日402🥇1位🥇1位
AI Picasso - AI danceAI Picasso2024年1月15日307🥇1位
KotaeTokyo Techies2024年7月28日541🥇1位
Minutektmouk2024年9月14日327🥉3位
Omakase.ai VoiceZEALS2025年4月18日290🥇1位5位
GiselleROUTE062025年12月29日507🥈2位🥉3位

※「–」は該当ランキングで5位以内に入っていない、または情報が確認できなかったことを示します

各プロダクトの詳細

STUDIO — 日本初の歴史的快挙(2017年)

日本発プロダクトとして史上初めて Product Hunt 世界1位を達成したノーコード Web デザインツールです。

ドラッグ&ドロップでデザインからコーディングまで完結でき、「デザインの民主化」を実現しました。代表の石井穣氏は「狙って Product Hunt にハントされるようにしていたが、まさか1位が獲れるとは驚いた」と語っています。

この成功は、後の日本のスタートアップに対し「日本からでも世界一は獲れる」という強烈な勇気を与えました。

Kotae — 中小企業向けAIチャットボット

Tokyo Techies 社が開発した AI チャットボット。日本語で「答え」を意味する名前の通り、NLP 技術で顧客問い合わせを自動化します。

500以上の Upvote、100件以上のコメントを獲得し、SaaS 週間ランキングでも2位を記録。日本企業の強みである「品質へのこだわり」が、信頼という形でグローバル市場に受け入れられた事例です。

AI Picasso — 生成AIの民主化とモバイルファースト

AI Picasso 株式会社が開発した画像生成 AI アプリ。特に、写真1枚からダンス動画を生成する「AI ダンス」機能は、TikTok などのショート動画文化と完璧にマッチし、2024年1月にデイリー1位を獲得しました。

複雑なプロンプト入力を極力排除し、直感的な操作で高度な AI アートを生成できる点が評価されています。

Minute — 個人開発者が示す「意味ある時間」の価値

日本人個人開発者 ktmouk 氏が開発したオープンソースの時間管理アプリ。「有意義な時間」と「有意義ではない時間」をフォルダ構造で整理・分析できます。

SNS 告知なし、有名ハンターへの依頼なしという「頑張らない Product Hunt」スタイルで3位を獲得した点がユニーク。巨額の資金調達を行ったスタートアップでなくとも、個人の情熱とアイデアで世界と戦えることを証明しました。

Omakase.ai Voice — 音声AIセールスエージェント

ZEALS が開発した音声接客 AI エージェント。URL を入力するだけで Web サイトを音声 AI セールス体験に変換できます。

「日本のおもてなし文化とテクノロジーの融合」をコンセプトに掲げ、同日にローンチされた Google Gemini 2.5 Flash を抑えて1位を獲得した点が特筆されます。「Chatbots suck — they don’t sell. This one does.(チャットボットは最悪だ、売れないから。でもこれは違う)」という挑発的なタグラインも印象的でした。

Giselle — オープンソースAIワークフロービルダー

ROUTE06 が開発したオープンソースのビジュアル AI アプリビルダー。コーディング不要で AI ワークフローを構築できます。

「日本から世界への挑戦」として、GitHub ネイティブな設計が特徴。ローンチ当日は一時1位に到達しましたが、最終的に2位でフィニッシュしました。

開発チームがユーザーからの技術的な質問に即座に、かつ詳細に回答する姿勢がコミュニティの信頼を勝ち取り、バグ報告に対してリアルタイムで修正を行うなど、オープンソースプロジェクトの模範とも言える振る舞いが評価されました。

日本発プロダクトの成功傾向

調査から浮かび上がった傾向をまとめます。

1. 2024年以降のAI系プロダクトの躍進

2017年の STUDIO から2023年までは散発的な成功事例でしたが、2024年以降は AI 系プロダクトの活躍が急増しています。Kotae、AI Picasso、Omakase.ai Voice など、いずれも AI を活用したプロダクトです。

2. 「おもてなし」のテック的解釈

日本の「おもてなし」は、SaaS や AI において「ユーザーの文脈を先読みする機能」として実装されています。

  • Omakase.ai: ユーザーが検索する手間を省き、AI が先回りして提案
  • Giselle: 開発者が面倒と感じるインフラ設定を先回りして自動化
  • Kotae: 不正確な回答によるリスクを先回りして排除

この「ユーザーの負担を極限まで減らす」という設計思想は、グローバル市場でも通用しそうです。

3. 「Visual First」の設計

STUDIO、AI Picasso などに共通するのは、テキストによる説明を読まなくても、スクリーンショットやデモ動画を見るだけで価値が伝わる「Visual First」な設計です。

Product Hunt のユーザーは数秒で興味の有無を判断するため、直感的な UI は英語のハンディキャップを相殺する最強の武器となります。

4. 大規模マーケティングなしでも勝てる

Minute が「頑張らない」戦略で3位を獲得した例は、個人開発者にとって大きな希望です。機能の多さではなく、開発者の思想やストーリーへの共感が重要であることを示唆しています。

5. 時差の戦略的活用

Product Hunt の1日は太平洋標準時の午前0時01分(日本時間の午後5時01分頃)に開始されます。日本のチームは、ローンチ直後の数時間(日本の夕方から夜)に活動のピークを持ってくることで、アメリカ西海岸が目覚める前に初期の Upvote を集め、「Trending」セクションの上位に表示させることが可能です。

まとめ

Product Hunt における日本発プロダクトの成功は、もはや「例外的な出来事」ではなく、再現可能な戦略の結果であることが調査から見えてきました。

グローバル市場を最初から見据えたプロダクト設計が、Product Hunt 成功の重要な要因と言えるでしょう。

AI 技術のコモディティ化が進む中、勝負の要諦は「AI モデルの性能」から「AI をどう使いやすくするか(UX)」へと移行しています。この領域こそ、細やかな配慮と信頼性を重んじる日本の開発者が最も輝ける場所ではないでしょうか。

以上、日本発 Product Hunt のデイリートップ3入りプロダクトを調査した現場からお送りしました。

参考情報