自社プロダクトの一部として CLI Agent を組み込みたいと考え、主要 AI プラットフォーマー 3 社のツールのライセンスを調査しました。本記事では、各ツールの商用利用可否と、組み込み時に注意すべきポイントを解説します。
今回調査したのは以下の 3 つの CLI Agent ツールです。
結論から言うと、ライセンス形態は 2 種類に分かれます。
| ツール | ライセンス | 商用利用 | ソース改変 | 再配布 | 特許条項 |
|---|---|---|---|---|---|
| Claude Code | プロプライエタリ | 条件付き | ❌ | ❌ | なし |
| Codex | Apache 2.0 | ✅ | ✅ | ✅ | あり |
| Gemini CLI | Apache 2.0 | ✅ | ✅ | ✅ | あり |
Codex と Gemini CLI は Apache 2.0 で提供されており、商用利用に適したオープンソースライセンスです。一方、Claude Code のみプロプライエタリライセンスであり、コードの改変・再配布は原則禁止されています。
Claude Code は GitHub でソースコードが公開されていますが、これは「オープンソース」を意味しません。LICENSE ファイルの内容は以下のとおりです。
© Anthropic PBC. All rights reserved.
Use is subject to Anthropic's Commercial Terms of Service.
Claude Code の「使用」自体は商用利用規約への同意により可能ですが、自社プロダクトへの「組み込み」や「改変」は原則として認められていません。
Anthropic が提供する「Agent SDK」を利用して、Claude Code の CLI をサブプロセスとして呼び出す方式が「承認された統合パス」として提示されています。ただし、SDK を通じた統合であっても、エンドユーザーが自身の Claude.ai ログイン情報やレート制限を直接利用するような設計は、事前に Anthropic の承認を得ない限り規約違反となるリスクがあります。
商用ユーザーの場合、Outputs(出力物)の所有権は顧客に帰属します。Anthropic は商用顧客向けに著作権侵害クレームに対する補償も提供しています。
OpenAI Codex と Google Gemini CLI はともに Apache License 2.0 を採用しています。このライセンスは MIT と同様にパーミッシブ(寛容)であり、商用利用に適しています。
明示的な特許許諾条項が含まれる点が最大の特徴です。コントリビューターは、その貢献に関連する特許について永続的・世界的・無償のライセンスを付与します。これにより、特許侵害訴訟のリスクが軽減されます。
| 要件 | 詳細 |
|---|---|
| ライセンス同梱 | Apache 2.0 ライセンス全文を製品に含める |
| 変更の明示 | 変更したファイルに変更した旨を目立つ形で記載 |
| 著作権表示維持 | 元の著作権・特許・帰属表示を保持 |
| NOTICE ファイル | 存在する場合は派生物にも含める |
Apache 2.0 には特許報復条項があります。Apache 2.0 ライセンス対象ソフトウェアに対して特許訴訟を提起した場合、そのソフトウェアに関する特許ライセンスは自動的に終了します。特許戦略を重視する企業は、この条項を考慮する必要があります。
ライセンス第 6 条により「OpenAI」「Codex」「Google」「Gemini」などの商標を製品名やマーケティングに使用することは許可されていません。製品の出所説明以外での商標使用には別途許可が必要です。
重要な点として、ソフトウェアのライセンスと AI API サービスの利用規約は別物です。ソフトウェア自体がオープンソースであっても、バックエンドの API 利用には各社の規約が適用されます。
| ツール | API 提供元 | 適用される利用規約 |
|---|---|---|
| Claude Code | Anthropic API | Anthropic Commercial Terms of Service |
| Codex | OpenAI API | OpenAI Business Terms |
| Gemini CLI | Google Gemini API | Gemini API Terms of Service |
特に OpenAI Business Terms では「Output を使用して OpenAI と競合する AI モデルを開発すること」が制限されています。また、Gemini API、Anthropic API にもそれぞれ Usage Policy があり、違法・有害な利用が禁止されています。
上記 3 つの主要 AI プラットフォーマー製ツール以外にも、商用利用可能な OSS CLI Agent ツールが多数存在します。
| ツール | 説明 |
|---|---|
| Aider | ターミナルで AI ペアプログラミングを実現する CLI ツール |
| ForgeCode | 複数の LLM プロバイダに対応した対話型 CLI ペアプログラミングツール |
| Goose | Block 社が開発した拡張性の高いオンマシン AI エージェント |
| ツール | 説明 |
|---|---|
| OpenCode | プロバイダー非依存で 75 以上のモデルに対応。特定プロバイダーへのロックインを回避できる |
| Plandex | 大規模プロジェクト向けに設計されたターミナルベースの AI 開発ツール |
これらはいずれも商用利用が可能です。
なお、MIT ライセンスには明示的な特許許諾条項がないため、特許侵害リスクについては Apache 2.0 より保護が弱い点に留意すべきです。
法的リスクが低く、必要な対応も最小限です。著作権表示とライセンス文を製品に含めるだけで、商用利用・改変・再配布が自由に行えます。
特に OpenCode(MIT) はプロバイダー非依存で設計されているため、タスクの難易度に応じてモデルを使い分ける「モデル・ルーティング」が可能です。安価なモデルと高性能モデルを組み合わせることで、コスト最適化も実現できます。MIT ライセンスには特許保護がない点のみ注意が必要です。
特許許諾条項があり、ビジネス環境での利用に適しています。帰属表示と変更明示の要件をきちんと満たせば、プロプライエタリ製品への組み込みも問題ありません。NOTICE ファイルの存在確認を忘れずに。
コーディング用途であれば、Codex と Gemini CLI のどちらも選択肢になります。エンタープライズ顧客を対象とする場合、Google Cloud Vertex AI と Gemini CLI の組み合わせ、あるいは OpenAI Enterprise と Codex の組み合わせが適しています。データレジデンシーやコンプライアンス認証(SOC 2 等)をクリアしているため、営業上の障壁を最小化できます。
一方、汎用的なユースケース(コンテンツ生成、リサーチ、タスク管理など)を想定するなら Gemini CLI 一択です。Gemini CLI はコーディング以外にも幅広いタスクに対応できるよう設計されており、Headless Mode によるスクリプト連携やバッチ処理にも対応しています。
コード改変・再配布が禁止されているため、自社プロダクトへの「組み込み」という形での利用は原則として不可能です。
Claude AI の機能を活用したい場合は、以下の方法を検討すべきです。
エージェント型 AI は、単なるチャット形式の AI に比べて圧倒的に多くのトークンを消費します。一回のリクエストごとに、コードベースの構造、ファイル内容、過去の実行結果、および複雑なシステムプロンプトをコンテキストとして送信するためです。
商用プロダクトを設計する上で、以下のコストモデルの選択は収益性に直結します。
自社プロダクトの一部として組み込むことが目的であれば、Codex/Gemini CLI(Apache 2.0)または OpenCode 等の OSS CLI Agent(MIT)が適切です。いずれも商用フレンドリーなライセンスであり、帰属表示さえ適切に行えば、プロプライエタリソフトウェアへの統合が認められています。
Claude Code はソースコードが公開されているものの、プロプライエタリライセンスのため組み込み利用には向きません。Claude AI の機能を活用したい場合は、API 経由での利用を検討すべきです。
最終的な導入判断にあたっては、以下の点を確認することを推奨します。
以上、CLI Agent ツールのライセンスを調べてみた、現場からお送りしました。